災害対策士

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災害対策士とは

災害対策士とは

東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンター(DMTC)では、行政や民間組織と協働してより効果的な災害対策を立案・実施するための教育プログラムを開発し、専門的な知識と技能を持つ人材の育成を行ってきました。この人材育成の結果を対外的にも示すため、一般社団法人災害対策トレーニングセンター支援会(DMTC-SA)は、「災害対策士(DMS)」という能力認定制度を2024年に設立しました。
災害対策士は、8分野・47種の災害対策業務をフレームワークとした実践的な知識とスキルを持ち、定期的な更新試験により能力を保証している災害対策のスペシャリストです。それぞれの分野は、活動する内容やレベルに応じてC級・B級・A級の3階級に分けられています。

災害対策士の階級 CLASS

災害対策士の立ち位置

災害対策士は、8分野・47種の災害対策業務をフレームワークとした実践的な知識とスキルを 持ち、その能力を定期的な更新試験により保証している災害対策のスペシャリストです。 それぞれの分野は、活動する内容やレベルに応じてC級・B級・A級の3階級に分けられています。

災害対策士ロゴ

災害対策士の位置づけ POSITION

災害対策士の立ち位置

災害対策士

  • 軸位置: 専門性の深さ & 戦略的視点
  • 災害対策士は、災害対応の策定や計画に関わる専門的かつ戦略的なスキルを有しています。

定義

  • 専門性の深さ:特定の専門知識や技能が強く求められる度合い。
  • 広範な応用性:多様な状況や問題に適用可能な、汎用的な知識やスキルを持つ度合い。
  • 戦略的視点:長期的かつ大局的な視点を持ち、戦略的な意思決定や計画を行う能力。
  • 実務的操作:具体的な操作や実務を効果的に行う能力、日常のタスクや短期的な対応に焦点を当てる。

災害対策士の活躍の場面 FIELD

地方自治体の災害対策担当者

災害対策士は、地方自治体の災害対策担当者・企業の防災担当者として重要な役割を果たします。彼らは災害対策の全体像を把握し、混乱した状況下でも適切な判断を下すことができます。
特に、応援職員や未教育職員の指導、効率的な業務遂行、部門間のコミュニケーション促進において力を発揮します。災害対策士の知識と技能は、災害時の迅速かつ効果的な対応を可能にし、被害の軽減と復旧の迅速化に貢献します。彼らの存在は、地域の防災力向上と住民の安全確保に不可欠です。

企業の防災担当者

企業のBCP担当者と事業部門の関係は、都道府県と市町村の関係に良く似ています。支援者と実務者の関係とも言えるでしょう。
普段は稼ぐことを優先順位の一位にしている事業部門に普段から災害対策企業のBCP(事業継続計画)担当者として、災害対策士は重要な存在です。彼らは平常時から事業継続に必要な対策を立案し、災害時には迅速な意思決定と行動をリードします。災害対策士は、企業全体の防災意識向上や、各部門との連携強化に貢献します。
特に、災害経験の少ない事業部門に対して、効果的な教育と訓練を実施し、緊急時の対応力を高めます。彼らの専門知識は、企業の災害レジリエンス向上と、迅速な事業復旧を可能にし、企業価値の保護に大きく寄与します。

コンピテンシー COMPETNCY

災害対策士では、東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンター(DMTC)が定義している12種類の能力要件を採用しています。

理解していること・できることをどう使うか

資質・能力 定義 指標 定義
1. 構想力・
体系化力
正解のない複雑な状況を可視化する能力、体系・フレームワーク設定力 構想力・
体系化力
災害体験から得られた知見等をフレームワーク化や体系化できる。
2. 言語化力 自分が伝えたい内容は何か?何を伝えたら相手に響くのか、伝える内容を定めることができる力 定義力・
読解力・文章力
定義と具体例を切り分け、物事の必要条件を整理し言葉を定義できる。何を表現するのか(What)、どのように伝えるのか(How)を整理して、目的達成に向けて何を伝えればよいのかを考え明文化できる。
3. 研究・創造力・実行・実装力 常識にとらわれない発想や工夫で、物事を多面的に捉え、新しい「価値」を生み出し続ける力 創造力 従来の手法に拘泥せずに新しい考えやアイデアによる創造的な問題解決を図ることができる。
自立性/自律性 困難な状況下でも積極的にチャレンジする姿勢を持つことができる。
4. 調整力 意見を集約・結論まで導く力、人をその気にさせる力、自分自身と他者の心の動きに気づき・理解する力、自分の行動や人間関係を上手にマネジメントする力、調整力 ベクトル 周囲の関係者の意見を傾聴し、対話を通じて信頼関係を醸成し、組織を一つの方向性にまとめることができる。
責任感 自らの戦略を実現する上で周囲の理解が得られなかった場合でも、自らの責任において断行できる。
戦略策定力 災害対策に当たり、課題の本質を見出し、課題解決の選択肢の中から最適解を選択するための戦略を策定できる。
5. 表現力 伝達力、リスクコミュニケーション力(対話力、傾聴力)、情報共有力、対人影響力、語学 伝達力 目的を達成するために、周囲の関係者に自分の考えや判断を明確に分かりやすく伝え、相手に理解させることができる。
コミュニケーション力 自らの考えをバーバル・ノンバーバル・文書等を通じて周囲に伝えることができる。
影響力 普段から、自らの考えを周囲に伝えると共に周囲の考え方を理解しようとすることで意思疎通を図ろうとする。
6. 思考力 情報収集理解し、分析することで、計画まで落とし込む力 情報収集・
理解力
災害状況下で、素早く正確に情報を収集し、情報の本質的な意味を理解できる。
分析力 収集した情報を分析し、リスクの及ぼす影響等を考慮し、情報に重みづけを与え、情報の優先度を量ることができる。
計画策定力 意思決定を行うにあたって、必要なリソース(ヒト・モノ・カネ)を計画し、最適なリソース配分を策定できる。
7. 判断力 意思決定力、戦略策定力、状況判断力、柔軟性 意思決定力 災害対策をする上で必要な意思決定を適切なタイミングで行うことができる。
8. 行動力 迅速性、成果管理力、達成指向、連携力、業務委任力 完遂性 困難な状況下でも手段を尽くして最後まで課せられた責任を果たそうとする。
迅速性 一刻を争う状況下で、迅速に対応することができる。

何を理解し、何ができるか

資質・能力 定義 指標 定義
9. 俯瞰力 災害対策に関する体系的な知識と活用する技能の習得 俯瞰力 災害対策(被害抑止から復興まで)を俯瞰的に捉えること、8分野・47種類の災害対策業務などを理解できる。
10. 予測力・
想像力
状況を想定し先取り・先読みする力 想像力・イマジネーション 置かれた状況下から、何が起こるのかを想像(イメージ)することができる。災害状況を具体的にイメージし、先を見通した戦略的な対応力(先見性と戦略性)と状況変化への対応力(多様性と柔軟性)の必要性を理解できる。

どのような資質が必要か

資質・能力 定義 指標 定義
11. 学ぶ力 探求力、学習能力、主体性、新たな教訓を学ぶ力 学習力 過去の教訓や失敗から積極的に学ぼうとする。新たな知識を業務に取り入れようとする。
12. 人間力 人間関係形成力、人脈形成力、共生力、ストレス耐性、信頼、危機感、協調性、積極性・向上心、倫理観 ストレス耐性 前例のない状況や困難な状況下に置かれても、平常心で冷静に物事を判断できる。

各段階で求める人材像と能力 STAGE

災害対策士では、以下のように各段階に求められる人材像と能力を定めている。能力要件については、東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンター(DMTC)が定義している能力要件を採用している。

A級★★★ 型を広げる

受験資格 活躍の場面 求める人材像 求める能力
B級保有者+
経験・実績
●インストラクターとしてB級人材を育成
●トレーニングの設計
●コンサルティング
●インストラクター Instructor
人材育成に必要な能力を有する。
●革新を生む姿勢 Innovation
自らを陳腐化させることで進化し続けることにコミットし、正しくB級受講者を育成、評価できること。
1. 構想力・体系化力
2. 言語化力
3. 研究・創造力・実行・実装力
4. 調整力
5. 表現力

B級★★ 型を使う

受験資格 活躍の場面 求める人材像 求める能力
C級保有者 ●現場リーダー
●セミナー等で講師
●各種計画やマニュアル等を策定
●チームリーダー Leadership
組織の災害対策全体を把握し計画立案や総合的な指示、意思決定ができる。チームで協力して物事を実行する姿勢があるか。
●創造する Creativity
地域や組織に応じた災害対策業務の計画立案や課題解決ができ、想定外に対応できる。
●行動する Performance
災害対策業務の行動を身に着け、課題を把握できる。臨機応変に対応できる。知識、情報をベースに基本的な災害対策の行動を実践し、体験の中から受講者の役割、視点から課題を把握する。
●計画する Planning + Management
災害対策の基本形をベースに受講者の役割、立場に応じた実効性、独自性がある計画を策定する。
5. 表現力
6. 思考力
7. 判断力
8. 行動力

C級★ 型を知る

受験資格 活躍の場面 求める人材像 求める能力
誰でも受験可能 ●現場で効果的に行動
●研修、ワークショップ等でのリーダーやファシリテーター
●チームメンバー Membership
災害対策全体を理解し、指示された内容に対し、自分で考え行動できる。
●イマジネーション力 Imagination
災害対策業務で効果的な行動を起こせるよう、災害現場の推移をイメージできる。
●行動するための知識 Awareness
知識を持っているか。災害対策に不可欠な多様な領域の知識、情報をインプットし興味、想像力を拡げ、気づきを生む。
9. 俯瞰力
10.予測力・想像力
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